砂防エンジニアリングの技術基盤

微地形から出発する砂防計画

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微地形から出発する砂防計画
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土砂災害を防ぐ、そのカギは微地形にあります
「砂防微地形」とは、地形学で言うところの微地形と違い、山地とその周縁部の侵食・堆積現象に関わる地形です。「砂防微地形」の解析によって、土地の荒廃特性と長年繰り返されてきた土砂移動現象の履歴を読み解き、どの箇所でどのような土砂移動がどのくらいの規模で起こりそうなのか「ストーリー」を作り上げていきます。 非常に説得力があり、かつ分かりやすい現実的な砂防計画立案手法です。
砂防計画で「微地形」のワケ

>なぜ「微地形」か?

いま現在見えている地形はこれまでの「土砂の移動」の履歴であり、「土砂の移動」はその土地の荒廃特性を反映して発生します。
流域の荒廃特性を構成する要素は複雑多岐にわたります。
  •地質構造の配列
  •地表を構成する岩石の風化
  •侵食に対する抵抗性
  •土壌、植生等の諸要素
  •内的営力(地殻変動、地震や火山活動)
  •外的営力(気候:古気候も含む、気象条件) など
微地形砂防の示すもの

これら諸要素が相互に作用し形成されたのが現在の地形であり、過去から現在にかけて繰り返されてきた地形変化の一断面であり、歴史的産物なのです。
よって、現在の地形を微に入り細に入り解析し、そこから今後の土砂移動現象を予測する手がかりを探し出す、これが「微地形」から出発する砂防計画の根本です。
砂防で言うところの「微地形」とは、地形学で言うところの微地形と違い、山地とその周縁部の侵食・堆積現象に関わる地形です。現「微地形」を詳細に分析することにより、「不安定な土砂あるいは土砂になりやすい岩石がどこに分布するか」「それらが移動しやすい位置にあるかどうか」を把握することができます。

>土砂災害対策=人の病気治療
人が病気になったとき、その状態だけでなく、もともとの体質やこれまでの病歴をまず問診票に書き出します。それをもとに検査を行い、問診票と検査結果から総合的に診断し、処方を決めます。

土砂災害対策も同じなのです。

まずその土地の荒廃特性と土砂移動特性と把握し、それら特性を基に、空中写真判読、LP等高線図読図や現地調査を行い、「微地形分類図」を作成します。「砂防微地形」の解析によって、土地移動現象の履歴を読み解き、どの箇所でどのような土砂移動がどのくらいの規模で起こりそうなのか「診断」をするのです。
土砂災害対策と人の病気診断の対比
微地形解析で複数の「ストーリー」を作る
>診断はひとつではない
微地形分類図を作成する過程では、流域の荒廃性や具体的な土砂移動現象についていろいろイメージをしながら判読していきます。常に砂防対策を意識し、写真判読と現地調査を繰り返しながら、どこでどのような土砂移動がどのような規模で起こりそうなのか、発生の危険度はどの程度なのかを予測していきます。これらの予測は土砂移動現象の物語づくりとも言えますし、1件につき、2~3の複数のストーリーを作り上げていきます。病気の診断と同じように、土砂災害の診断もひとつではないのです。
>流域荒廃特性から砂防計画を立案
まず流域の荒廃特性と土砂移動現象を空中写真の判読によって解析し、微地形分類図に表現し、これに基づいた新しい施設配置計画素案を検討します。
その上で重点流域、重要地点を抽出し、空中写真の詳細判読や現地調査によって一歩進めた詳細微地形調査を実施します。
施設に期待する機能を明らかにして、施設配置計画を再検討します。具体的な施設計画の立案には将来の土砂移動現象の規模を想定しなければなりません。最も有力な手がかりは、河道の堆積構造を解析して堆積の時期と量を把握することです。その結果に基づいて計画対象規模を複数想定します。
そしてこれらのストーリーに基づいて、ハード対策・ソフト対策を検討します。
砂防計画立案の手順
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